Excel を捨てなくていいんです。
前回の記事で、Microsoft 365(MS365)と Google Workspace(GWS)を 6つの軸で比較しました。そして最後に、こんな話をしました。
あなたが Microsoft に本当に期待しているのは、グループウェアという「基盤」ではなく、Excel や Word というデスクトップアプリの「道具箱」ではないですか?
この記事は、あのメッセージの続きです。
「GWS の方が合理的なのはわかった。でも Excel や VBA は手放せない……」。そう感じた方に向けて、どちらか一方に決めなくていい選び方——ハイブリッド運用の具体的な進め方をお伝えします。
📌 この記事でわかること
- なぜ「Excel を捨てるな」なのか——Office ツールの価値を改めて整理する
- 「どちらか一方」という発想が招いた 2つの DX 失敗パターン
- 基盤(GWS)+ 道具箱(MS365 Apps) のハイブリッド運用とは何か
- 30名規模の製造業での具体的なコスト試算
- 部署別の構成パターンと、VBA 移行の考え方
- 3ステップの移行ロードマップ
※ 本記事の金額は 2026年3月時点の税抜き価格です。ライセンスの購入元によっても変動しますので、最新の正確な情報は必ず各サービスの公式サイトでご確認ください。
まず、Excel と Word の価値を正面から認めておきたい
ハイブリッド運用の話に入る前に、大事なことを先に言わせてください。
Microsoft Office のデスクトップアプリは、本当に優れたツールです。
これはお世辞でも前置きでもなく、12年製造業の現場を見てきた実感です。
精緻さという、代替しにくい強み
Word のデスクトップアプリで作った提案書と、Google ドキュメントで作った提案書。見た目の仕上がりを比べると、正直なところ差があります。フォントの選択肢、配色の細かさ、印刷時のレイアウト精度——30年以上の積み重ねは伊達ではありません。
Excel のピボットテーブル、条件付き書式、カメラ機能。PowerPoint の画像配置とアニメーション。これらは「慣れの問題」で片付けられるレベルの差ではなく、ツールとしての完成度の差です。
取引先への見積書、官公庁への提出書類、社内の月次報告書——「見た目の仕上がり」が求められる場面は、製造業でも少なくありません。こうした場面で「Google ドキュメントでいいじゃん」とは、さすがに言えない。
もう一つの強み——「業務資産」としての Excel
ただ、Office ツールの本当の価値は、アプリの機能だけではありません。
社員全員が Excel の基本操作を知っている。 新入社員が入っても、Excel の使い方を一から教える必要がない。これは地味ですが、教育コストという観点では非常に大きなメリットです。
そしてもっと重要なのが、VBA による業務自動化です。
生産管理の自動集計。品質検査データの帳票出力。受発注処理の半自動化。「ベテランの班長が 5年かけて作り上げた」Excel マクロが、今日も会社の業務を黙々と回している——そんな製造業は珍しくありません。
これらは単なる「ファイル」ではなく、長年の業務知識が凝縮された事業資産です。「クラウドに移行するから全部作り直してね」と言われて、はいそうですかとはいかない。作り直しにかかる工数も、その間の業務リスクも、無視できるものではないのです。
ここまで読んで、「じゃあ結局 MS365 でいいじゃないか」と思った方もいるかもしれません。ところが、話はそう単純ではありません。
二者択一の発想が招いた、2つの DX 失敗パターン
「MS365 か GWS か」——まさにこの二者択一の思考そのものが、多くの失敗を招きます。
失敗パターン①:「MS Office はもう古い! 全部 Google に移行だ!」
DX の号令のもと、全社一括で GWS に完全移行しました。メール、ストレージ、文書作成——すべてを Google に統一。「Excel は使わない」という方針を打ち出したのです。
ところが、製造部の班長が長年使ってきた生産管理マクロは、Google スプレッドシートでは動きません。関数の互換性はある程度保たれますが、VBA は GAS とはまったく別の言語。一朝一夕に移植できるものではないのです。
結果、何が起きるか。
班長は こっそり自分の PC に Excel を残し、従来通りマクロを動かし続けました。いわゆる「野良 Excel」の誕生です。Google スプレッドシート上の公式データと、ローカルの Excel で管理されている実データ。2つのデータが並行して存在するようになり、在庫数にズレが出始め、当然ながら現場の信頼は失われました。
「DX だから新しいツールに統一する」という発想が、現場に積み上がった業務資産を否定してしまった典型例です。
失敗パターン②:「うちは Excel を使ってるから、やっぱり MS365 だよね」
逆のパターンもあります。
「社員が Excel と Word に慣れているから」という理由で MS365 のグループウェアを選んだケース。前回の記事で詳しく触れた通り、導入後に次々と想定外のコストが発覚します。
AI 機能(Copilot)は別売で月額 3,148円。ノーコード開発ツール(Power Apps)は制限版で、フル版には追加課金が必要。共有 PC では SCA(共有コンピューターのライセンス認証)非対応のためライセンス違反のリスクがある。
冷静に振り返ると、この会社が本当に必要としていたのは MS365 というグループウェアではなく、Excel や Word というデスクトップアプリでした。前回の記事の言葉を借りれば、「基盤」が欲しかったのではなく「道具箱」が欲しかっただけ。基盤と道具箱を最初から分けて考えていれば、GWS + MS365 Apps という組み合わせで、もっと安く、もっと合理的に運用できたはずなのです。
ハイブリッド運用とは何か——「基盤」と「道具箱」を分けて選ぶ
2つの失敗パターンに共通しているのは、「どちらか一方に決めなければならない」という前提です。
ハイブリッド運用は、この前提を捨てることから始まります。
基盤(グループウェア)は GWS に統一する。道具箱(デスクトップアプリ)は、必要な人だけ MS365 Apps を追加する。
これが、ハイブリッド運用——あるいは GWS と MS Office の「いいとこどり」の基本設計です。
具体的にどのサービスを何に使うか、整理しておきましょう。
- メール・カレンダー・会議: Gmail / Google カレンダー / Google Meet(全社共通)
- クラウドストレージ: Google ドライブに統一(OneDrive は使わない)
- AI 機能: Gemini(GWS に標準搭載。追加費用なし)
- ノーコード開発: AppSheet(GWS に標準搭載。オフライン対応)
- 文書・表計算(日常業務や共同作業): Google ドキュメント / スプレッドシート
- 文書・表計算(高度な編集): Excel / Word デスクトップアプリ(MS365 Apps for Business、月額 1,236円)
ポイントは 2つあります。
1つ目は、全員が MS Office デスクトップアプリを使うわけではないということ。VBA マクロが必要な経理担当、取引先向けの書類を Word で仕上げたい営業担当——本当に必要な人だけが MS365 Apps を追加すればいい。
2つ目は、ストレージを Google ドライブ一本に統一するということ。OneDrive と Google ドライブの両方を使うと、「あのファイルどっちに保存したっけ?」問題が必ず発生します。Excel ファイルも Google ドライブに保存し、デスクトップアプリで開いて編集する——この運用なら、ストレージの二重管理を避けられます。また Gemini は、これらのファイルも分析して把握できるので、AI の利便性もそのままです。
30名の製造業で試算する——「両方使って、まだ安い」の正体
「2つのサービスに月額を払うなんて、高くつくのでは?」
直感的にはそう思いますよね。では、数字で確認してみましょう。管理部門 5名、共有 PC 利用者 10名、現場作業者 15名——合計 30名の中小製造業を想定します。
ハイブリッド構成
対象 | プラン | 月額/人 | 人数 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
管理部門 | GWS Business Standard + MS365 Apps | 2,836円 | 5名 | 14,180円 |
共有PC利用者 | GWS Business Standard のみ | 1,600円 | 10名 | 16,000円 |
現場作業者 | GWS Frontline Starter | 520円 | 15名 | 7,800円 |
合計 | 37,980円/月 |
MS365 単独構成(前回記事から再掲)
対象 | プラン | 月額/人 | 人数 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
管理部門 | Business Standard | 1,874円 | 5名 | 9,370円 |
共有PC利用者 | Apps for Enterprise(SCA対応) | 1,799円 | 10名 | 17,990円 |
現場作業者 | F1 | 399円 | 15名 | 5,985円 |
管理部門AI | Copilot | 3,148円 | 5名 | 15,740円 |
合計 | 49,085円/月 |
月額の差は約 11,000円。年間で約 13万円の削減になります ✨
しかも内訳を見てください。ハイブリッド構成では、管理部門と共有 PC 利用者の合計 15名全員が AI(Gemini)を使えます。MS365 構成で AI を使えるのは Copilot を追加購入した 5名だけ。AI の恩恵を受けられる人数が 3倍になっているのです。
一つ補足しておくと、共有 PC の 10名には MS365 Apps を追加していません。MS365 Apps for Business も SCA に非対応のため、共有 PC にインストールして複数人で使うことはライセンス上できないからです。共有 PC では Google の Webアプリを使う設計にしています。なお、共有 PC でどうしても Excel デスクトップアプリが必要な場合は、買い切り版の MS Office(Office 2024 など)をデバイス単位で導入することも可能です。
部署別の構成パターン——うちの部署はどうすればいい?
「全社一律の設計」では、どうしても部署ごとのニーズに合いません。ハイブリッド運用の強みは、部署の業務内容に合わせて「道具箱」を柔軟に割り当てられる点にあります。
営業部
日常の見積書や社内向け資料は Google スプレッドシート / ドキュメントで十分。ただし、取引先への正式な提案書は PowerPoint の表現力が求められるケースも多い。営業部長と主要な提案担当だけ MS365 Apps を追加し、他のメンバーは GWS のみで運用するのが現実的です。
経理部
VBA マクロの利用率が最も高いのが経理部です。月次の仕訳集計、決算資料の自動生成、銀行の振込データ出力——こうした処理は Excel + VBA がまだ圧倒的に強い領域。経理部は全員に MS365 Apps を配置する前提で考えましょう。証憑の PDF は Google ドライブに保存しておけば、Gemini で横断検索できるのもメリットです。
製造部
現場のデスクレスワーカーが中心の部署。日報入力、品質チェック、在庫確認といった日常業務は AppSheet で構築し、スマホやタブレットから操作するのが理想です。GWS Frontline Starter(月額 520円)で AppSheet も使えるので、追加費用はかかりません。工程管理表などで Excel を使い続ける場合は、工程管理担当者にだけ MS365 Apps を追加します。
設計部
CAD データの管理が課題になる部署です。部品表(BOM)作成や原価計算に VBA が使われていることも多く、MS365 Apps が必要になるケースが多い。CAD データの保存先は Google ドライブに統一しておくと、チーム間の共有やバージョン管理が楽になります。また部品表の管理に Excel を使っている場合も、ドライブに保存しておけば Gemini の分析対象になります。
技術的な連携——Office ファイルと GWS は、ちゃんと共存できる
「2つのサービスを併用すると、ファイル管理がぐちゃぐちゃになるのでは?」
この懸念はもっともですが、実は技術的にはかなりスムーズに連携できます。
Excel ファイルを Google ドライブで管理する
Excel ファイル(.xlsx)を Google ドライブに保存すると、ブラウザ上でそのまま開けます。簡単な数値の修正やフィルタ操作なら、デスクトップアプリを起動しなくてもブラウザで完結します。
複雑な関数やマクロを使う編集が必要な場合は、ドライブから「アプリで開く」を選ぶだけで、デスクトップの Excel が立ち上がります。編集後は自動的にドライブに保存されるので、手動でアップロードし直す手間はありません。
バージョン管理も自動で行われます。「さっき上書きしちゃった」ときも、ドライブの履歴機能で以前の状態に戻せます。
Gemini は Office ファイルも分析できる
ハイブリッド運用で見逃せないメリットの一つが、GWS の AI(Gemini)は Google ドライブに保存された Office ファイルも分析対象にできるという点です。
Excel で作った売上データ、Word で書いた議事録、PowerPoint の提案資料、そして PDF のスキャンデータ——すべてが Gemini の参照範囲に入ります。
つまり、Office アプリで作成・編集したファイルも、ドライブに保存するだけで AI の恩恵を受けられるのです。「Office アプリを使い続けたいけど、AI も活用したい」——ハイブリッド運用なら、その両方が手に入ります。
ストレージは Google ドライブ一本に
繰り返しになりますが、ストレージは Google ドライブに統一してください。MS365 Apps for Business にも 1TB の OneDrive が付いてきますが、使わないのが鉄則です。
「あの Excel ファイル、ドライブ? OneDrive?」——この迷いが発生した瞬間に、ファイル管理の効率は半減します。Google ドライブ一本に集約すれば、Gemini の分析対象も統一され、検索もバックアップも一元管理できます。
VBA 資産の棚卸しと移行の考え方
「Excel を残すのはわかった。でも VBA はいずれ移行した方がいいの?」
結論から言うと、急いで全部移行する必要はありません。ただ、長期的には段階的な移行を視野に入れておくのが賢明です。
VBA でやっていることの約 80%は GAS で置き換えられる
GAS(Google Apps Script)は JavaScript ベースのスクリプト環境で、Google スプレッドシートや Gmail、Google ドライブと直接連携できます。VBA で行っているメール送信の自動化、日報の集計、定期レポートの生成、簡易なデータ加工——こうした処理の大半は GAS で再現可能です。
残りの約 20%——ファイルシステムへの直接アクセス、ActiveX コントロール、COM アドイン連携——は、デスクトップアプリでなければ対応できない領域です。ここは無理に移行する必要はありません。
棚卸しの判断基準
MS365 Apps で残すもの
- VBA マクロが複雑で、作り直しに大きな工数がかかるもの
- 取引先や官公庁への提出書類で、Word / Excel のフォーマットが厳密に指定されているもの
- CAD/CAM ソフトとの連携で Windows デスクトップが必須なもの
GAS + AppSheet に移行するもの
- メール送信の自動化、日報の集計、簡易なデータ加工
- 新規で作る業務アプリ(在庫管理、品質チェック、点検記録など)
- 定期レポートの自動生成
とはいえ、VBA への長期依存にはリスクがある
「当面は VBA を使い続けていい」と書きました。それは本心です。ただ、長期的に VBA に依存し続けることのリスクも、正直にお伝えしておかなければなりません。
1. 言語としての将来性
VBA はデスクトップアプリ専用の言語であり、クラウド環境(Web版 Excel や OneDrive)では動作が不安定です。Microsoft 自身も VBA の積極的な機能追加は行っておらず、後継として Office Scripts(TypeScript ベース)を推進しています。ただし Office Scripts は VBA との互換性がなく(書き直しが必要)、対応も Excel のみ、UI フォームも作れないなど制限が多いです。さらに、Office Scripts は MS365 Business Standard 以上のプランが必要で、ハイブリッド運用で使う MS365 Apps for Business では利用できません。つまり、VBA からの「Microsoft 公式の移行先」も、現状では万全とは言えないのです。
2. 人材の確保
VBA を書ける人材は年々減っています。若い世代のエンジニアにとって VBA はレガシー技術であり、キャリア形成の観点からも積極的に学ぶ動機が薄い。「5年後、この VBA マクロを直せる人が社内にいるか?」——この問いは、事業継続性の観点で軽視できません。一方、GAS は JavaScript ベースであり、IT 人材市場での供給は圧倒的に豊富です。
3. セキュリティ
VBA マクロはマルウェアの感染経路として悪用されるリスクがあります。実際、Microsoft は 2022年以降、インターネットからダウンロードした Office ファイルのマクロをデフォルトでブロックする方針を段階的に進めています。VBA マクロを業務で使い続けること自体が、セキュリティポリシーとの摩擦を生む可能性があるのです。
だからこそ、VBA を今すぐ捨てる必要はないのですが、GWS への基盤移行と並行して GAS への段階的な移行を進めておくことが、5年後・10年後の事業継続性を考えると健全な判断です。ハイブリッド運用は、まさにこの「段階的な移行」を無理なく進めるための枠組みでもあります。
移行は「止める」のではなく「始める」
大事なのは、既存の VBA を止める必要はないということ。今動いている仕組みはそのまま動かしつつ、新しい自動化案件から GAS で作り始める。これが最も安全な進め方です。
そしてここに、ハイブリッド運用の隠れたメリットがあります。GAS への移行が進んだ業務から、MS365 Apps のライセンスを減らしていけるのです。つまり、移行が進むほど月額コストが下がっていく。焦らず、長い目で取り組む価値のある投資です。
3ステップの移行ロードマップ
「やることが多すぎて、どこから手をつければいいかわからない」——そう感じた方のために、3つのステップに分けて整理します。
Step 1: メールとカレンダーから始める(1〜2ヶ月目)
最初の一歩は、一番変化が小さく、効果が見えやすいところから。
GWS Business Standard を全社に導入し、メールとカレンダーを移行します。Google が提供する移行ツールを使えば、過去のメールデータもそのまま引き継げます。
Office デスクトップアプリが必要な社員には、同時に MS365 Apps for Business を追加。この段階では、Excel ファイルの運用はこれまで通りで OK です。メールとカレンダーだけ先に切り替えます。
大切なのは、社員の体感として「意外とスムーズだな」と感じてもらうこと。いきなり全部変えると抵抗感が跳ね上がります。小さな成功体験を積むことが、次のステップへの推進力になります。
ただし一つだけ注意点。ツールを変えるだけでは DX にはなりません。 メールが Gmail に変わっても、「CC を 10人に入れて、添付ファイルをやり取りする」文化がそのままなら、何も変わっていないのと同じです。ツールの切り替えと同時に、「共有リンクで送る」「ドライブ上で直接編集する」「Google グループで営業部共有のメールアドレスを作る」といった業務フローの見直しも、少しずつ進めていきましょう。
Step 2: クラウド基盤を活かす(3〜6ヶ月目)
メール移行が安定したら、次は ファイル管理と現場アプリ です。
共有ファイルを Google ドライブに移行し、チームドライブ(共有ドライブ)でフォルダ構造を整理します。同時に、日報入力や品質チェックといった現場業務を AppSheet でアプリ化。スプレッドシートをデータソースにするだけなので、プログラミングは不要です。スマートフォン対応、オフライン対応も標準で備わっています。
このタイミングで Gemini の活用も始めましょう。メールの要約、会議の議事録自動生成、引き合い案件の状況の確認、スプレッドシートのデータ分析。使い始めると「これが追加費用なしで使えるのか」という驚きがあるはずです。
Google ドライブに保存した Excel や Word のファイルも、Gemini の分析対象になります。MS Office アプリで作ったデータも、ドライブに置くだけで AI の恩恵を受けられる——これがハイブリッド運用の真価が発揮され始めるタイミングです。
並行して、VBA 資産の棚卸しもこの時期に開始しておきましょう。
Step 3: VBA 移行は焦らず、長い目で(6ヶ月目〜)
棚卸しの結果をもとに、移行可能な VBA から順次 GAS に置き換えていきます。
まずは優先度の高いもの——メンテナンスが困難になっているマクロや、作成者が退職してブラックボックス化しているもの——から着手します。既存の VBA は並行稼働を維持しながら進めるので、「ある日突然動かなくなった」という事態にはなりません。
GAS への移行が完了した業務から、MS365 Apps のライセンスを削減していけます。5名分の MS365 Apps(月額 6,180円)が 3名分に減れば、月額で約 2,500円、年間で約 3万円のコストダウン。小さな額に見えますが、移行が進むほど積み重なっていきます。
この Step 3 に明確な「終わり」はありません。むしろ、新しい自動化のアイデアが次々と生まれてくるフェーズでもあります。GAS は Gemini API とも連携できるため、AI を活用した業務自動化の可能性がここから広がっていきます。
まとめ——「完全移行」ではなく「最適配置」
ハイブリッド運用の本質を一言で表すなら、「どちらが優れているか」ではなく「どの業務に何を使うか」を最適化することです。
基盤 は GWS に統一する。メール、カレンダー、ストレージ、AI、ノーコード開発——すべてが追加費用なしで揃います。
道具箱 は必要な人にだけ配る。Excel、Word、PowerPoint のデスクトップアプリは、本当に必要な業務を持つ社員にだけ MS365 Apps for Business を追加すればいい。
この組み合わせなら、2つのサービスを使っていても、MS365 の AI 込みプランより安い。しかも AI の恩恵はより多くの社員が受けられます。
「完全移行」の呪縛から解放されて、「最適配置」で考える。これが、中小製造業にとって最も現実的な一歩ではないでしょうか 👍
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VBA → GAS 移行、AppSheet での業務アプリ構築、段階的な移行計画の策定——。具体的な支援が必要な場合は、お気軽にご相談ください。製造業の現場を 12年見てきたエンジニアが、御社に最適なハイブリッド運用を一緒に設計します。